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TORENDIA

二つの作品

本文約1,400字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

小酒井不木の「肉腫」と、羽志主水の「監獄部屋」という二つの探偵小説を評する随筆。前者は探偵小説的加工を排し、微妙な人間性を簡潔な筆致で捉えた点を高く評価する。後者については、物語の精彩ある描写や独自の筆致を称賛しつつも、作中の言葉選びが古めかしさを招いている点を指摘する。著者は、探偵小説界の現状に批判的な視線を向けながら、新しい潮流を切り拓こうとする書き手の困難と将来性を語る。

国枝史郎

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🎧 二つの作品 / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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小酒井さんの「肉腫」という作(新青年掲載)依然として結構な作品です。探偵小説的加工の無いのが、一つの特色を為して居ります。如何にも有りそうな事件と云うより有った事件を有りのままに纏めた――こう云い度いような作品です。医師その人に成心が無く、威嚇的で無かったということも、この作品を快くしました。一種微妙な人間性を、直截簡潔の筆で描き、醒気を紙面へ漲らせたのは、小酒井さんとしては常套手段、それでいて矢張り結構であります。ただ末段に至りまして、手術をされた人間が、肉腫への憎悪に夢中になり、自分の腕の切られたのも忘れ、その腕を出せというあたり――この作中での正念場――そこが余りに略筆され、些か明瞭を欠きましたが、併し是は私の頭がひどく其時疲れていたので意味が取れなかったのかもしれません。で「?」この印を記して置きます。

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