TRENDIA CLASSIC

橘曙覧評伝

折口信夫

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一 晩年の作物

天皇[#「天皇」の左に「オホキミ(?)」のルビ]は 神にしますぞ。天皇の勅としいはゞ、畏みまつれ

天の下清くはらひて、上古の御まつりごとに復る よろこべ

橘ノ曙覧が、越前福井三橋の志濃夫廼舎で、五十七年の生涯を終へたのは、慶応四年八月二十八日であつた。

「此日、早旦自ら起たざるを知り、一二、後事を遺命し、且つ、如キレ斯クノ古来未曾有の大御代に遭ひながら、眼前、復古の盛儀大典を見奉るに至らず、況や、かねての抱負も、将に達するに向はむとして、今日はかなく世を去るこそ、返す/″\も口惜しけれとて、切歯瞑目せられたり。聞く人、其志のほどを悲しまざる者なかりき」と、臨終の様を追懐したのは、彼の長男井出今滋である。(明治卅六年作、橘曙覧小伝)

この英雄風な最期の記述せられてゐる日は、京都では、既に東京行幸の為の訓諭が出るまでに、新代の光りが照りわたつてゐた。

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