黒川能・観点の置き所
本文約1,800字 ・ 読了時間 約4分
あらすじ(AIが作成しました)
山形県を中心に伝わる民俗芸能・黒川能の特殊な舞台構造や、演者である上座・下座の役割、春日神社での神前演奏という形式を解説する。東京の能とは異なる独自の発展を遂げたその芸のあり方を、能楽の歴史的文脈や親族的な関係性から考察する。また、上演される狂言の魅力や、能楽の原点に回帰するような見方の重要性を説き、外部からの影響を取り込みすぎないことの重要性を提言する。現地での観劇を通じた実感こそが考察の土台となることを強調する。
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山形県には、秋田県へかけて、室町時代の芸能に関した民俗芸術が多く残つて居ります。黒川能は、その中でも著しいものゝ一つで、これと鳥海山の下のひやま舞ひとの二つは、特に皆様に見て頂きたいものであります。この黒川能が二十数年ぶりで上つて来るのであります。世話をして下さつた斎藤氏に感謝しなければならないと思ひます。
特殊の舞台構造
特にこの能で注意しなければならないのは、舞台構造であります。京都の壬生念仏を思はせるやうな舞台で、上下の廊下が橋掛りになつて居り、舞台の正面には春日神社の神殿を控へて居るのであります。即、舞台と神殿との間には屋根がかけられて、全体が内陣のやうな形をもつてゐます。以前は神殿だけが独立して居つたのですが、現今は、全体として完全な室内舞台の形式になつて居ります。奉仕する役者はといふと、上座と下座が二部落に別れて居り、こゝで能をする時は、上座は左橋掛り(正面から見て)から出て舞ひ、下座は右橋掛りから出て舞ふことになつて居る。これは最大きな特徴で、今度の公演に幾分でも実現出来れば結構だと思ひます。この神前演奏の形は、春日の若宮祭りの第一日の式と同形式といつていゝと思ひます。しかも、黒川では常にその形式を繰り返してゐるわけで、見物人よりも神に対する法楽を主としてゐることがわかります。
五流の親族