TORENDIA
経験派
織田作之助
TORENDIA
経験派
本文約300字 ・ 読了時間 約1分
あらすじ(AIが作成しました)
掏摸を描くために町へ出た小説家が、財布を掏られたと勘違いして喜び勇んで帰宅する。実は財布を持って出るのを忘れていただけと気づき、急遽小説の題を書き換える、織田作之助の掌編。
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🎧 経験派 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏
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彼は小説家だった。下手な小説家だった。その証拠に実感を尊重しすぎた。
彼は掏摸の小説を構想した。が、どうも不安なので、掏摸の顔を見たさに、町へ出た。
ところが、一人も掏摸らしい男に出会わなかった。すごすご帰りの電車に乗って、ふと気がつくと、財布がない。掏られていたのだ。彼は悲しむまえに喜んだ。
「これで掏摸の小説が書ける」
彼は飛ぶように家へ帰った。そして机の前に坐ると、掏られたはずの財布がちゃんと、のっている。持って出るのをうっかり忘れていたのだ。
彼は原稿用紙の第一行に書かれている「掏摸の話」という題を消して、おもむろに、
「あわて者」
という題を書いた。そして、あわて者を主人公にした小説を書き出した。
完
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