TORENDIA
丹那トンネル開
通祝ひ
原民喜
TORENDIA
丹那トンネル開通祝ひ
本文約470字 ・ 読了時間 約1分
あらすじ(AIが作成しました)
汽車に一度も乗ったことのない発明家・頼太が、丹那トンネル開通の日に七里の山道を駅まで歩き、初めて汽車に乗ってその感激を得意げに語る原民喜の掌編。
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頼太は四十歳の独身の独眼の発明家だったが、まだ汽車へ乗ったことがなかった。その癖十何年も前から丹那トンネルには興味を持ってゐた。いよいよトンネルが成功しかかった頃には、彼の発明まで成功し出すのではないかと考へた。山奥で二十年間、何とも云へない不思議な機械を考案しながら、世の中からまるで奇妙な道楽者扱ひにされてゐた頼太のことだ、トンネルが成功した時には誰よりも一番に喜んだ。
新聞によれば今日が開通祝ひだと云ふ。頼太は汽車に敬意を表すべく七里の山路を駅まで歩いた。すると汽車と云ふ奴はどうももともと頼太には親しめなかったが、今日に限ってまあ大目に見ることが出来た。そこの駅を生意気さうにそっぽむいて行く急行を見送ると、あれがやがて丹那トンネル潜るのかと思ふと少し謀叛心が生じた。自分だって一度は汽車に乗ってやらう、さう決心すると次の次の駅まで切符を買った。そして始めて汽車に乗ったのである。何と乗ると乗らないとは相違してゐたことか。頼太は次の次の駅で降りると、早速一軒の旗亭へ入った。そこの女をとらへて頻りに頼太は丹那トンネルの自慢をした。
完
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