TRENDIA CLASSIC

其中日記

種田山頭火

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自戒三則

一、物を粗末にしないこと

一、腹を立てないこと

一、愚痴をいはないこと

誓願三章

一、無理をしないこと

一、後悔しないこと

一、自己に佞らないこと

欣求三条

一、勉強すること

一、観照すること

一、句作すること

一月一日 晴――曇。

明けましておめでたう。

九時帰庵、独酌。

賀状とり/″\。

午後、樹明居へ、御馳走になる、来客数人、なか/\賑やかであつたが、うるさくもあつた。

留守中、敬君来庵、すみませんでした。

うたゝ寝、覚めると暮れてゐた。

酒もうまいが餅もうまい、飯もありがたいが水もありがたい。

夜おそく八幡連中来庵、星城子、鏡子、井上、杉山さんの四人。

豚を鋤焼して飲む、ごろ寝したのは三時を過ぎてゐたらう。

一月二日 曇。

朝寝して、起きるとまた酒、豚汁はおいしかつた、さすがに井上さんはコツクだつたらしい。

堤さん、後を追うて来た、お土産として銘酒二本。

夕方、みんないつしよにタクシーで湯田温泉に遊ぶ、M旅館で賑やかに会食、近来になくハシヤいだ。

十時の汽車に乗るべく、またタクシーで、――私はたうとう愚劣きわまる酒乱患者となつてしまつた!

一月三日 曇。

茫々たり、漠々たり、昏々たり、沈々たり。

庵中独坐。

自己清算しろ、自己破産か! 自己決算か!

おのづからなる自壊作用!

――生きてゐたくない、死にたい――それも執着だ。

この寂寥、この憂欝、この虚無。

たへがたし、其中一人酔つぱらふ。

生きてゐる真実、食べることの真実、あはれ/\。

天地人一切の有象無象!

酒、酒、餅、餅、新年、新年。

老醜。――

一月四日 曇。

やゝ落ちつく。

午後、樹明君来庵、酒一杯、飯一杯。

夕方、敬君来庵、一升樽さげて。

同道して湯田へ、一浴して戻る、酒が残つてゐるのでそれだけ飲む。

熟睡安眠、夢も見なかつた。

一月五日 晴。

日本晴である、昼寝。

樹明君来訪、例の如く酔うてそれからそれへ、――馬鹿、阿呆。――

一月六日 雨――曇。

陰欝な一日。

餅があるので、鼠が来てゐるお正月(いつもはゐない、ゐつかない)。

考へる、――強く生きよ。

一月七日 曇。

或る青年来庵、間もなく樹明君来訪、三人でのんびり飲む。

咲いた、咲いた、机上の梅が、床の水仙が。

一人となればまた沈欝な一夜。

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