女王スカァアの笑い
本文約4,100字 ・ 読了時間 約9分
あらすじ(AIが作成しました)
スカイの島を支配する女王スカァアは、美しき青年クウフリンに激しい執着を抱いている。アルスタアへ帰還したクウフリンが夢見る存在は、仙界の王の妻イテーンであった。女王はクウフリンの心を得られぬ怒りと苦悩から、難破した海賊たちを樫の木に吊るして処刑するという狂気に満ちた凶行に及ぶ。女王の暗く深い嫉妬と、叶わぬ恋に苛まれる彼女の精神の崩壊を描く。
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強い女王スカァアが剣持つ手の掌に死の影を握って支配していたスカイの島をクウフリンが立ち去った時、そこには彼の美を惜しむなげきがあった。クウフリンはアルスタアの王コノール・マック・ネサの招きに依ってアイルランドに帰ったのであった。そのときレッドブランチの党派は血に浸っていた。予言する人たちの眼には恐しい事が起って拡がって行くのが見えていた。
クウフリンは年齢からいえばまだ少年であった、しかしスカイに来たとき少年であった彼は丈夫となってその地を去った。女王もほかの女たちもクウフリンより美しい人を見たことがなかった。彼は松の若木のようにたけ高く柔軟で、皮膚は女の胸のように白く、眼は烈しく輝く青色で、その中に太陽の光のような白い光が宿っていた。少し身を屈めて弓に矢をつがえ、妻呼ぶ鹿の声を聞きながら草原に立つ時、或はまた、木に倚りながら、鷹狩の夢でもなく狼狩の夢でもなく、まだ見たことのない女の夢を見ている時、或はまた砦に剣を振り槍をしごいて勝負する時、競争場に戦車を走らせる時――その時、いつも彼の美を見ている人目があった。そして彼を美の神アンガス・オォグ自身かと疑う者さえあった。クウフリンの身辺には光があった、ちょうど日の入り方一時間前ぐらいの山々の夕ばえのような光であった。彼の髪はアンガスや金髪の神たちと同じ色であった。頭に近い辺は金を射出す土の色の茶色、中ほどは火焔のような赤さ、火の色の黄金の霧に散らばる髪の末の方は風ふく日の陽の光のように黄いろかった。