TORENDIA
夜の高尾山
大町桂月
TORENDIA
夜の高尾山
本文約3,400字 ・ 読了時間 約7分
あらすじ(AIが作成しました)
檜葉菩薩と六一菩薩という二人の賢人を高尾山へ誘い出し、疲弊させて困らせようと企てる「三馬鹿」の青年たち。彼らは新宿から登山を計画し、巧みな嘘や陰謀を用いて山頂まで賢人たちを連れ出す。過酷な登山を経て山頂からの絶景を共にした一行は、下山道で迷いながらも、酒を酌み交わし、和やかな一時を過ごす。知的な会話や道中の騒動を通じて、賢人と青年たちの交流を描く。
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小石川の小日向臺に、檜葉菩薩と稱する賢人あり。門内の檜葉の樹、偉大にして、東京に冠たるを以て、斯く名づく。啻に其の檜葉が偉大なるのみならず、其の人格偉大也。其の學も、其の徳も、其の才も、みな偉大也。三馬鹿、年來この菩薩の指導を受く。或時三馬鹿相會し、相議して曰く、『我等の如き馬鹿者は、何事に於ても小日向の菩薩に敵する能はず。併し我等も日本男兒と生れたるからには、何かの事にて、ひとつ此の菩薩を負かしたきものなり』と。馬鹿の寄合だけに、議する所も馬鹿げたる事也。されど、馬鹿は馬鹿ながら、三人寄れば文珠の智慧とかや。裸男、礑と膝を叩いて、曰く、『諸君喜べ。こゝに奇策あり。檜葉菩薩は身體肥滿せり。山登りの一事は、我等に敵する能はざるべし。高尾山に誘ひて、一つ困らせて見ては如何に』と。夜光命眉を顰めて曰く、『其の策や好し。唯軍用金なきを如何にせむ』と。十口坊膝を進めて曰く、『君等は寅藥師あることを忘れたるか。侠氣に富みて、多く金を有す。この藥師を拜一拜すれば、必ず我等の爲に蕭何の任に當るべし』と。夜光命も、裸男も、齊しく手を拍つて曰く、『妙案、妙案。』
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