TRENDIA CLASSIC
さいかち淵
宮沢賢治
1 / 7
八月十三日
さいかち淵なら、ほんとうにおもしろい。
しゅっこだって毎日行く。しゅっこは、舜一なんだけれども、みんなはいつでもしゅっこという。そういわれても、しゅっこは少しも怒らない。だからみんなは、いつでもしゅっこしゅっこという。ぼくは、しゅっことは、いちばん仲がいい。きょうもいっしょに、出かけて行った。
ぼくらが、さいかち淵で泳いでいると、発破をかけに、大人も来るからおもしろい。今日のひるまもやって来た。
石神の庄助がさきに立って、そのあとから、練瓦場の人たちが三人ばかり、肌ぬぎになったり、網を持ったりして、河原のねむの木のとこを、こっちへ来るから、ぼくは、きっと発破だとおもった。しゅっこも、大きな白い石をもって、淵の上のさいかちの木にのぼっていたが、それを見ると、すぐに、石を淵に落して叫んだ。
「おお、発破だぞ。知らないふりしてろ。石とりやめて、早くみんな、下流へさがれ。」そこでみんなは、なるべくそっちを見ないようにしながら、いっしょに下流の方へ泳いだ。しゅっこは、木の上で手を額にあてて、もう一度よく見きわめてから、どぶんと逆まに淵へ飛びこんだ。それから水を潜って、一ぺんにみんなへ追いついた。
ぼくらは、淵の下流の、瀬になったところに立った。
「知らないふりして遊んでろ。みんな。」しゅっこが云った。ぼくらは、砥石をひろったり、せきれいを追ったりして、発破のことなぞ、すこしも気がつかないふりをしていた。
宮沢賢治の他の作品
TRENDIA CLASSIC
ペンネンノルデ
はいまはいない
よ 太陽にでき
た黒い棘をとり
宮沢賢治
ペンネンノルデはいまはいないよ 太陽にできた黒い棘をとりに行ったよ
宮沢賢治 ・ 約2分
TRENDIA CLASSIC
青柳教諭を送る
宮沢賢治
青柳教諭を送る
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
〔青びかる天弧
のはてに〕
宮沢賢治
〔青びかる天弧のはてに〕
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
秋田街道
宮沢賢治
秋田街道
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
〔あくたうかべ
る朝の水〕
宮沢賢治
〔あくたうかべる朝の水〕
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
朝に就ての童話
的構図
宮沢賢治
朝に就ての童話的構図
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
あけがた
宮沢賢治
あけがた
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
ありときのこ
宮沢賢治
ありときのこ
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
或る農学生の日
誌
宮沢賢治
或る農学生の日誌
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
イギリス海岸
宮沢賢治
イギリス海岸
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
イギリス海岸
宮沢賢治
イギリス海岸
宮沢賢治
TRENDIA CLASSIC
いてふの実
宮沢賢治
いてふの実
宮沢賢治