さいかち淵
本文約5,400字 ・ 読了時間 約11分
あらすじ(AIが作成しました)
さいかち淵で遊ぶ「しゅっこ」と仲間たちは、大人による発破漁や見知らぬ来訪者との交流を通して、日常の遊びに興じる。ある日、しゅっこは毒を用いた魚獲りを試みるが失敗し、仲間との鬼ごっこで激しい執着心を見せる。夕立が近づく中、不気味な叫び声を聞いた彼らは、恐怖に包まれながら河原を逃げ出す。子供たちの夏の日の冒険と、彼らを取り巻く奇妙で少し恐ろしい自然の気配を描く。
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八月十三日
さいかち淵なら、ほんとうにおもしろい。
しゅっこだって毎日行く。しゅっこは、舜一なんだけれども、みんなはいつでもしゅっこという。そういわれても、しゅっこは少しも怒らない。だからみんなは、いつでもしゅっこしゅっこという。ぼくは、しゅっことは、いちばん仲がいい。きょうもいっしょに、出かけて行った。
ぼくらが、さいかち淵で泳いでいると、発破をかけに、大人も来るからおもしろい。今日のひるまもやって来た。
石神の庄助がさきに立って、そのあとから、練瓦場の人たちが三人ばかり、肌ぬぎになったり、網を持ったりして、河原のねむの木のとこを、こっちへ来るから、ぼくは、きっと発破だとおもった。しゅっこも、大きな白い石をもって、淵の上のさいかちの木にのぼっていたが、それを見ると、すぐに、石を淵に落して叫んだ。
「おお、発破だぞ。知らないふりしてろ。石とりやめて、早くみんな、下流へさがれ。」そこでみんなは、なるべくそっちを見ないようにしながら、いっしょに下流の方へ泳いだ。しゅっこは、木の上で手を額にあてて、もう一度よく見きわめてから、どぶんと逆まに淵へ飛びこんだ。それから水を潜って、一ぺんにみんなへ追いついた。
ぼくらは、淵の下流の、瀬になったところに立った。
「知らないふりして遊んでろ。みんな。」しゅっこが云った。ぼくらは、砥石をひろったり、せきれいを追ったりして、発破のことなぞ、すこしも気がつかないふりをしていた。