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TORENDIA

台川

本文約7,700字 ・ 読了時間 約16分

あらすじ(AIが作成しました)

教師と生徒たちが釜淵を目指して山道を歩く様子を描く。道中で教師は地質学的な知識を語り、生徒たちと安山岩や流紋凝灰岩などの観察を行う。一行は急な崖を下りて川へと到達し、冷たい水に足をつけて歩きながら、川底の石や崖の地層に温泉の痕跡を見つける。生徒たちの活発な動きや掛け合いを交えながら、自然の中を散策する一日が展開される。

宮沢賢治

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〔もうでかけましょう。〕たしかに光がうごいてみんな立ちあがる。腰をおろしたみじかい草。かげろうか何かゆれている。かげろうじゃない。網膜が感じただけのその光だ。

〔さあでかけましょう。行きたい人だけ。〕まだ来ないものは仕方ない。さっきからもう二十分も待ったんだ。もっともこのみちばたの青いいろの寄宿舎はゆっくりして爽かでよかったが。

これからまたここへ一遍帰って十一時には向うの宿へつかなければいけないんだ。「何処さ行ぐのす。」そうだ、釜淵まで行くというのを知らないものもあるんだな。〔釜淵まで、一寸三十分ばかり。〕

おとなしい新らしい白、緑の中だから、そして外光の中だから大へんいいんだ。天竺木綿、その菓子の包みは置いて行ってもいい。雑嚢や何かもここの芝へおろしておいていい行かないものもあるだろうから。

「私はここで待ってますから。」校長だ。校長は肥ってまっ黒にいで立ちたしかにゆっくりみちばたの草、林の前に足を開いて投げ出している。

〔はあ、では一寸行って参ります。〕木の青、木の青、空の雲は今日も甘酸っぱく、足なみのゆれと光の波。足なみのゆれと光の波。

粘土のみちだ。乾いている。黄色だ。みち。粘土。

小松と林。林の明暗いろいろの緑。それに生徒はみんな新鮮だ。

そしてそうだ、向うの崖の黒いのはあれだ、明らかにあの黒曜石の dyke だ。ここからこんなにはっきり見えるとは思わなかったぞ。

よしうまい。

〔向うの崖をごらんなさい。黒くて少し浮き出した柱のような岩があるでしょう。あれは水成岩の割れ目に押し込んで来た火山岩です。黒曜石です。〕ダイクと云おうかな。いいや岩脈がいい。〔ああいうのを岩脈といいます。〕わかったかな。

〔わかりましたか。向うの崖に黒い岩が縦に突き出ているでしょう。

あれは水成岩のなかにふき出した火成岩ですよ。岩脈ですよ。あれは。〕

ゆれてるゆれてる。光の網。

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