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TORENDIA

露宿

本文約9,400字 ・ 読了時間 約19分

あらすじ(AIが作成しました)

大正十二年九月一日、突如襲来した大地震と、それに続く大火災の渦中に投げ込まれた人々の姿を描く。四谷見附周辺に逃れた群衆は、一睡もできぬまま、迫り来る劫火と激震の恐怖に晒される。水も途絶え、火の手が町を囲む中、著者とその隣人たちは家財を抱え、極限状態での避難を余儀なくされる。本書は、大都会を焼き尽くす炎の脅威と、絶望的な状況下で垣間見える人間の絆や幻想的な光景を綴る。

泉鏡太郎

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二日の眞夜中――せめて、たゞ夜の明くるばかりをと、一時千秋の思で待つ――三日の午前三時、半ばならんとする時であつた。……

殆ど、五分置き六分置きに搖返す地震を恐れ、また火を避け、はかなく燒出された人々などが、おもひおもひに、急難、危厄を逃げのびた、四谷見附そと、新公園の内外、幾千萬の群集は、皆苦き睡眠に落ちた。……殘らず眠つたと言つても可い。荷と荷を合せ、ござ、筵を鄰して、外濠を隔てた空の凄じい炎の影に、目の及ぶあたりの人々は、老も若きも、算を亂して、ころ/\と成つて、そして萎たやうに皆倒れて居た。

――言ふまでの事ではあるまい。昨日……大正十二年九月一日午前十一時五十八分に起つた大地震このかた、誰も一睡もしたものはないのであるから。

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