TRENDIA CLASSIC
露宿
泉鏡太郎
1 / 12
二日の眞夜中――せめて、たゞ夜の明くるばかりをと、一時千秋の思で待つ――三日の午前三時、半ばならんとする時であつた。……
殆ど、五分置き六分置きに搖返す地震を恐れ、また火を避け、はかなく燒出された人々などが、おもひおもひに、急難、危厄を逃げのびた、四谷見附そと、新公園の内外、幾千萬の群集は、皆苦き睡眠に落ちた。……殘らず眠つたと言つても可い。荷と荷を合せ、ござ、筵を鄰して、外濠を隔てた空の凄じい炎の影に、目の及ぶあたりの人々は、老も若きも、算を亂して、ころ/\と成つて、そして萎たやうに皆倒れて居た。
――言ふまでの事ではあるまい。昨日……大正十二年九月一日午前十一時五十八分に起つた大地震このかた、誰も一睡もしたものはないのであるから。
泉鏡太郎の他の作品
TRENDIA CLASSIC
熱海の春
泉鏡太郎
熱海の春
泉鏡太郎
TRENDIA CLASSIC
麻を刈る
泉鏡太郎
麻を刈る
泉鏡太郎
TRENDIA CLASSIC
淺茅生
泉鏡太郎
淺茅生
泉鏡太郎
TRENDIA CLASSIC
飯坂ゆき
泉鏡太郎
飯坂ゆき
泉鏡太郎
TRENDIA CLASSIC
霰ふる
泉鏡太郎
霰ふる
泉鏡太郎
TRENDIA CLASSIC
雨ふり
泉鏡太郎
雨ふり
泉鏡太郎
TRENDIA CLASSIC
十六夜
泉鏡太郎
十六夜
泉鏡太郎
TRENDIA CLASSIC
一席話
泉鏡太郎
一席話
泉鏡太郎
TRENDIA CLASSIC
印度更紗
泉鏡太郎
印度更紗
泉鏡太郎
TRENDIA CLASSIC
畫の裡
泉鏡太郎
畫の裡
泉鏡太郎
TRENDIA CLASSIC
艶書
泉鏡太郎
艶書
泉鏡太郎
TRENDIA CLASSIC
大阪まで
泉鏡太郎
大阪まで
泉鏡太郎