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TORENDIA

真珠抄

本文約3,100字 ・ 読了時間 約7分

あらすじ(AIが作成しました)

真珠抄は、著者が自身の心を玉や真珠に例え、哀歓や常住のいのちを綴った短唱集である。本書は、海のほとりでの孤独な感極まりや自然への礼讃、人間としての情念や真実への渇望などを象徴的に描き出す。日常生活の断片や小笠原放浪中の情景を通して、真実の叫びを表現し、既成形式にとらわれない自由なリズムと独自の詩形によって、純粋な感情や孤独の深淵を繊細に描き上げた詩歌集である。

北原白秋

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🎧 真珠抄 / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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印度更紗の言葉

心ゆくまでわれはわが思ふほどのことをしつくさむ。ありのまま、生きのまま、光り耀く命のながれに身を委ねむ。れうらんたれ、さんらんたれ。わがうたはまた、印度更紗の類ひならねど渋くつや出せ、かつ煙れ。

千九百十四年九月白秋

[#改丁]

真珠抄 短唱

わが心は玉の如し、時に曇り、折にふれて虔ましき悲韻を成す。哀歓とどめがたし、ただ常住のいのちに縋る。真実はわが所念、真珠は海の秘宝、音に秘めて涙ながせよ。

潤ほひあれよ真珠玉幽かに煙れわがいのち

永日礼讃

ひと日海のほとり、斜なる草原の中に寝ころびぬ。日の光十方にあまねく、身をかくすよすがもなし。真実にただひとり、人間ものもあらざれば感極まりて乃ち涙をぞ流しける。

滴るものは日のしづく静かにたまる眼の涙

人間なれば堪へがたし真実一人は堪へがたし

珍らしや寂しや人間のつく息

真実寂しき花ゆゑに一輪草とは申すなり

哀れなる竜胆の春の深さよ、あな春の深さよな

磯草むらの螽斯鳴かずにゐられで鳴きしきる

宙を飛ぶ燕ひもじかろ燕

鳥のまねして飛ばばやな光の雨にぬればやな

木が光りゆらめくぞよとめどなき鳥春の鳥

あまり冷たし虫の穴さのみ金銀珠玉な鏤めそ

光りて企む虫の角メフイストフエレスが身のこなし

とめどなや風がれうらんとながるる

なびけば光る柳の葉光らぬ時が怖やの

山が光る木が光る草が光る地が光る

片面光る槐の葉両面光る柳の葉

勿体なや何を見てもよ日のしづく日の光日のしづく日の涙

源吾兵衛

玉ならば真珠一途なるこそ男なれ

心から血の出るやうな恋をせよとは教へまさねどわが母よ

蜥蜴が尾をふる血のしみるほどふる

悲しや玉虫が頭の中に喰ひ入つたわ

病気になつた気が狂れた一途な雛罌粟が火になつた

百舌のあたまが火になつた思ひきられぬきりやきりきり

散ろか散るまいかままよ真紅に咲いてのきよ

人目忍ぶはいと易しむしろわが身を血みどろに突かしてぢつと物思ひたや

日はかんかんと照りつくる血槍かついでひとをどり耶蘇を殺してユダヤの踊をひとをどり

ふくら雀は風にもまるる笑止や正直一途の源吾兵衛はひよいと世に出て人にもまるるもまるる

冥罰を思ひ知らぬか赤鼻の源左めなまじ生木を腕で折る

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