手紙
本文約750字 ・ 読了時間 約2分
あらすじ(AIが作成しました)
大坂滞在中に体調を崩した坂本龍馬が、帰郷後の親族を案じつつ自身の近況と海軍修行への決意を綴る。家族や周囲の様子に思いを馳せ、天下国家のために愛する妻や子を置いて海軍の道を歩む厳しさと、義理と情の間で揺れ動く自身の心境を吐露する。時勢の中で修行に励む男の覚悟を、親しい人々への手紙という形式を通じて描き出す。
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池御一同
杉御一同
先日大坂ニい申候時ハ、誠に久しぶりにかぜ引もふし薬六ふく計ものみたれバ、ゆへなくなをり申候。夫が京に参り居候所、又昨夜よりねつありて今夜ねられ不レ申、ふとあとさきおもいめぐらし候うち、私し出足のせつは皆々様ニも誠に御きづかいかけ候計と存じ、此ごろハ杉やのをばあさんハどのよふニなされてをるろふとも思ひ定而、池のをなんハいもばたけをいのししがほりかへしたよふな、あとも先もなき議論を、あねなどとこふじより、あせたしいうさるほねおりばなし、よめもともどもつバのみこみ、きくみゝたらずとふたつのみゝほぜくりあけてぞ、きかるべしなん。ある老人論じていう、女というものハ人にもよるけれど、高のしれたをんなめ、かの坂本のをとめとやら、わるたくみをしそふなやつ、あまり/\たらわぬちゑでいらざる事までろんじよると、すこしでもものしる人になれなれしくしたく、そふするうちになにとなく女の別もただしからぬよふニなりやすいものじや。なにぞききたくなると、男の方へたずねありくよふになり、かふいうとそのやミタ、思ひあたる人があるろふ。かの女れつじよでんなど見ると、誠に男女の別というものハたゞしい。男の心ニハ女よりハべして女がこひしい事もあるが、あの年わかい蔵太の玉のよふなるをよめごを、なにぞふるきわらぢのよふ思ひきりて、他国へでるも天下の為と思へバこそ、議理となさけハ引にひかれず、又こんども海軍の修行、海軍のというハおふけなおふねをのりまはし、砲をうつたり、人きりたり、それハ/\おそろしい義理というものあれバこそ、ひとりのをやをうちにをき、玉のよふなる妻ふりすて、ひきのよふなるあかごのできたに、夫さへ見ずとおけいとハ、いさましかりける次第なり、かしこ。
正月廿日龍 杉 御一同 池 御一同 あねにも御見せ。
完