青い玉と銀色のふえ
本文約2,200字 ・ 読了時間 約5分
あらすじ(AIが作成しました)
北の海のほとりで両親を亡くしたなみ子は、先祖から伝わる青い玉と銀色のふえを受け継ぐ。青い玉は真心を込めて願う者に未来の光景を見せ、銀色のふえは奏でる音色で魚を呼び寄せ、人々の心を励ます不思議な力を持っていた。ある日、漁に出る者が減り荒れ模様の海を前に、なみ子は浜の争いを鎮めようと願う。父の形見であるふえを漁師に託し、皆が再び仲良く助け合える日々を思い描きながら、遺された宝物と共に自らの運命と向き合っていく。
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北のさびしい海のほとりに、なみ子の家はありました。ある年、まずしい漁師であったおとうさんがふとした病気で死ぬと、つづいておかあさんも、そのあとを追うようにして、なくなってしまいました。かねて、びんぼうな暮らしでしたから、むすめのなみ子にのこされたものは、ただ青い玉と、銀色のふえだけでありました。
青い玉は、ずうっと昔、先祖のだれかが、この海べのすなの中からほり出して、それが代々家につたわったのだということでありました。
なにかねがい事があるとき、この青い玉にむかって、真心をこめておねがいすると、その心が神さまに通じてかなえられるというので、おかあさんはこの青い玉を、とてもだいじにしていました。
玉はつやつやしていて、深い海の色のように青黒く、どこまで深いのか、底が知れぬように、じっと見つめていると、引き入れられるような気がしました。
そして、真心をこめておいのりをすると、青い玉の表に、海の上をとびさる雲のように、いろいろなことが絵になってうかんできて、ゆくすえのことをおしえてくれるのでした。
また、あるときは、青い玉がまっかにほのおのようになって見えたり、玉にひびがはいったりして、不安な気持ちをいだかせることもありました。
「これには、ご先祖のたましいがはいっているんです。」といっておかあさんがこの青い玉をだいじにしたのも、ふしぎではありません。
おとうさんの持っていた銀色のふえは、その音色を聞くと、さびしいあら海にすさぶあらしのように、なんとなくひとりぼっちの感じを起こさせたり、またあるときは、反対に心を引きたてて、のぞみとよろこびをもたせることもありました。
そして、このふえの音がとどくところ、魚たちがその音をしたってよってくるので、思わぬ大漁がありました。
「まったくふしぎなふえじゃないか。」
「なんにしてもありがたいことだ。」
漁に出た人々は、なみ子のおとうさんの銀色のふえを手にとって、ふしぎそうにながめるのでした。
このふえもやはり、おじいさんのころからつたわっていましたので、これにも先祖のたましいがこもっていると、おとうさんは信じていました。