青葉の下
本文約1,100字 ・ 読了時間 約3分
あらすじ(AIが作成しました)
峠にある大きな桜の木の下で、おばあさんが小さな茶屋を営んでいる。ある日、自動車道を通すために桜の木を伐採する計画が持ち上がる。おばあさんをはじめ、茶屋に親しむ村人や子供たちは木を守ろうと立ち上がる。村人総出で桜を別の場所へ移植するが、衰弱した木を救うため、子供たちは毎日水を運ぶ日課を始める。地域の人々の協力により、木が再び生命力を取り戻していく過程と絆を描く。
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峠の上に、大きな桜の木がありました。春になると花がさいて、とおくから見るとかすみのかかったようです。その下に、小さなかけ茶屋があって、人のいいおばあさんが、ひとり店先にすわって、わらじや、お菓子や、みかんなどを売っていました。
荷を負って、峠を越す村人は、よくここのこしかけに休んで、お茶をのんだりたばこをすったりしていました。
賢吉と、とし子と、正二は、いきをせいて、学校からかえりに坂を登ってくると
「おばあさん、水を一ぱいおくれ。」といって、飛びこむのでした。
「おお、あつかったろう。さあ、いまくんできたばかりだから、たんとのむがいい。」と、おばあさんは、コップを出してくれました。おばあさんは、峠の下から、二つのおけに清水をくんで、天びんぼうでかついで上げたところでした。
ところが、自動車が、こんどあちらの村まで通ることになって、道がひろがるのでありました。それで、桜の木をきろうという話が起こったのです。それに、はんたいしたのは、もとよりおばあさんでした。つぎには、この茶屋に休んで、花をながめたり、涼んだりした村の人たちです。それから、賢吉や、とし子や、正二などの子供たちでした。
「あの桜の木をきっては、かわいそうだ。春になっても、花が見られないし、夏になっても、せみがとれないものなあ!」と、たがいに話し合いました。子供たちの不平が耳に入ると、親たちも、いつかきることに、はんたいしました。それで村の人々が桜の木を道のそばへうつすことになったのです。おおぜいの力ですると、どんなことでもされるものです。大きな桜の木は、じゃまにならぬところへうつされて、おばあさんの茶店は、やはりその木の下にたてられました。
「おばあさん、今年は、花がさかないのう。」
「そうとも、人間でいえば、大病人だぞ。かれなければいいが。」と、おばあさんは、しんぱいしました。天気がつづくと、おばあさんは、下から水をくみ上げて、根もとへかけてやりました。
「おばあさん、僕がくんできてやるから。」