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TORENDIA

妻

本文約45,600字 ・ 読了時間 約92分

あらすじ(AIが作成しました)

ピョーストロヴォ村の農民たちが飢餓と病気に苦しんでいるとの報告を受けた私は、難民支援のための寄付を決定する。しかし、周囲の不人情さや妻の無分別な活動に苛立ち、妻の金銭管理にも介入しようと試みる。そんな中、私は自らの内面的な変化と葛藤に向き合い、妻との関係や生活のあり方を問い直すことになる。私と妻、それぞれの視点から慈善活動と家庭生活の複雑な様相を描く。

アントン・チェーホフ Anton Chekhov

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一

私はこんな手紙を貰った。――

『パーヴェル・アンドレーヴィチ様尊下。御住居に程遠からず、すなわちピョーストロヴォ村に、惨澹たる事実の発生を見つつありますにつき、御一報申し上げますことを私の義務と存ずる次第であります。同村の農民はこぞって農舎および全財産を売却し、トムスク県に移住したりしところ、目的地に到らずして戻って参りました。さて申すまでもなく同村にはもはや彼らの持物とては一物もこれ無く、現在すべて人手に渡っており、農舎一軒につき三乃至四世帯ずつも居住いたし、戸毎の人員は幼児を除くもなお男女併せて十五人を下らず、遂には食物も尽き、飢餓はもとより、一人として飢餓性もしくは発疹性のチフスに感染せざるはなく、村民ことごとく文字どおり罹病いたしております。女医補の曰く、一歩農舎に入りて賭るところは何ぞ、みなこれ病者、悉く熱に浮かされ、或いは高笑いし或いは壁に攀じ、農舎の中は悪臭鼻を衝き、水を与うる者なく、水を運ぶ者なく、食物とてはひとり凍てたる馬鈴薯あるのみと。女医補及びソーボリ(当地の郡会医)も、薬餌よりはパンを先決問題とするとき、もとよりパンの持ち合わせはなきものゆえ、如何とも手の下しようなき次第であります。郡会事務局にては、該農民らはすでに郡会より除籍せられトムスク県下に籍を置くものなるを楯に給与を拒み、かつまた資金も無いのであります。右ここに御報告申し上げ、かつは貴下の御仁愛を知りつつ、早急の御援助を願い奉ります。貴下の多幸を祈る者より。』

明らかにこれは、その女医補自身か、でなければこの獣の名前を持った医師〔(手紙の中に見えるソーボリという姓は、黒貂という字である)〕が書いたものに違いない。一体が郡会医とか女医補とかいう連中は、彼らには何ひとつ出来はせぬということを、多年にわたって日一日と納得しながら、なおかつ凍てた馬鈴薯だけで命をつないでいる人たちから俸給をもらい、なおかつ私が仁愛に富むか否かを論ずる資格があると自惚れているのだ。

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