TRENDIA CLASSIC
恋愛恐怖病(二
場)
岸田國士
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第一場
静かな海を見下ろす小高い砂丘の上
日没前後
男と女とが、向うむきに、脚を投げ出して坐つてゐる。「なんでもない同志」の間隔が、それとなく保たれてゐなければならない。
やゝ長い間
男 あアあ。南京豆が食ひたくなつた。 女 南京豆……? それより、あれ御覧なさい、靄がだんだんこつちへ来てよ。 男 靄は毒ぢやないでせう。これやいかん、尻がつべたい。僕は何時の間にか砂を掘つてゐた。 女 燈台に灯がつくまで、こゝにゐませうね。 男 勿論僕だつて帰らうとは云ひません。今日はなんだか重大な日だ。胸騒ぎがします。 女 あたしは、なんだか知らないけれど、喉がかわくの。(急に歌ひ出す) 波の底に
呼ぶ声あり
われあらずば
誰か応へん
男 (それを受けて、歌ふやうに呼ぶ真似をする) オーイ
オーイ
やゝ長い間
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