TRENDIA CLASSIC

感化院の太鼓(二場)

岸田國士

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麦太郎

繭子

海老子夫人

女事務員

葱沢院長

袖原さん

其他無言の人物

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第一場

公園の一隅――杉の木立を透して黒板塀が続いて見え、梅雨晴れの空に赤瓦が光つてゐる。

小径を前にして朽ちかけたベンチが一つ、サイダアの空瓶や新聞紙の丸めたのや蹈みつけられた折などがあたりに散らかつてゐる。

繭子を先頭に、麦太郎、海老子夫人が現はれる。繭子は水色のパラソルをさした二十三四歳の未婚者。麦太郎は金釦の制服に帽子だけ鳥打といふ怪しげないでたち、おまけに勿体らしく細身のステツキをついてゐるが、その手つきはまだ十三四の初々しさである。海老子夫人は、紋附の黒の夏羽織、傘はささずに、扇子をつかつてゐる四十四五の近代母性型、黙つてゐる時、上唇で鼻の孔を塞ぐ癖がある。

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