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TORENDIA

ガンバハル氏の実験(ラヂオドラマ)

本文約8,900字 ・ 読了時間 約18分

あらすじ(AIが作成しました)

精神と電気の関係を研究するガンバハル氏は、日本で自身の発明した「千里の耳」という特殊な実験装置を公開する。これは遠方の場所で話される音声を、特定の人の署名を通じてラジオ放送のように聴取できるというもの。彼は放送を通じて無作為に選んだ人々の私生活を次々と傍聴し、家庭内の喧嘩や新郎新婦の決別といった切実な声を引き出す。最後には作者自身の動向までをも突き止めようと試みるが、思いがけない展開を迎える。

岸田國士

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アナウンサーの紹介につづいて、 別のアナウンサーの声で―― ――只今から、ガンバハル氏の「精神と電気」といふ御講演がございます。 ガンバハル氏の声――ええ、わたくしは、只今御紹介にあづかりましたガンバハルと申すものであります。生れは多分アフガニスタンあたりだと思ひますが、早く両親を失ひ、物心のつきます頃は、もう、ポートセードの船著場で、靴磨きをしてをりました。  ところが、或る日のこと、モロツコの絨毯売が、わたくしを仏蘭西の貨物船に載せて、無理矢理にマルセイユへ連れて行きました。そこでわたくしは、例のドパンゴ婆さんと近づきになりました。この婆さんは、お聞き及びの方もありませうが、有名なソルシエール、つまり巫女であります。その婆さんのところへは、色々な人が出入りをしてをりました。露西亜の宮内官、独墺の学者、支那の政治家、それに、英国の相場師、これがなかなか沢山であります。そのうちで、わたしを可愛がつてくれた墺太利の心霊学者と、マルセイユ電力会社の技師、この二人が、何をかくしませう、わたしを今日あらしめた恩人であります。すなはち、心霊学と、電気学の二た道から、わたしの好奇心は眼をさまされたのでありまして、この二つの学問を究めることによつて、わたくしは新しい発見に到達することが出来たのであります。

わたくしは、欧米のあらゆる都市で、機会ある毎に、この新学説を試みましたが、何分、手数のかかる実験を必要とする関係上、多くは、予期の結果を収めることができずに終りましたが、幸ひ、日本に参りまして、東京放送局の理解ある援助により、わたくしの実験は完全な成績を挙げる機会を得たのであります。

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