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TORENDIA

魚服記に就て

本文約300字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

上田秋成の『夢応の鯉魚』に触発され、鯉になって自分を辱めた人々を笑ってやりたいと願った――そんな苦しい生活の中で書いた小説「魚服記」の着想を、率直に振り返るエッセイ。

太宰治

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🎧 魚服記に就て / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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魚服記といふのは支那の古い書物にをさめられてゐる短かい物語の題ださうです。それを日本の上田秋成が飜譯して、題も夢應の鯉魚と改め、雨月物語卷の二に收録しました。

私はせつない生活をしてゐた期間にこの雨月物語をよみました。夢應の鯉魚は、三井寺の興義といふ鯉の畫のうまい僧の、ひととせ大病にかかつて、その魂魄が金色の鯉となつて琵琶湖を心ゆくまで逍遙した、といふ話なのですが、私は之をよんで、魚になりたいと思ひました。魚になつて日頃私を辱しめ虐げてゐる人たちを笑つてやらうと考へました。

私のこの企ては、どうやら失敗したやうであります。笑つてやらう、などといふのが、そもそもよくない料簡だつたのかも知れません。

完

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