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TORENDIA

無題

本文約450字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

友人の大井廣介からきっちり四百五十六字で書けと難題を吹きかけられ、腹を立てながらもその通りの字数で愚痴をこぼしてみせる太宰治のユーモラスな一文(旧仮名版)。

太宰治

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🎧 無題 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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大井廣介といふのは、實にわがままな人である。これを書きながら、腹が立つて仕樣が無い。十九字二十四行、つまり、きつちり四百五十六字の文章を一つ書いてみろといふのである。思ひ上つた思ひつきだ。僕は大井廣介とは、遊んだ事もあまり無いし、今日まで二人の間には、何の恩怨も無かつた筈だが、どういふわけか、このやうな難題を吹きかける。實に、困るのだ。大井君、僕は野暮な男なんだよ。見損つてゐるらしい。きつちり四百五十六字の文章なんて、そんな氣のきいた事が出來る男ぢやないんだ。「とても書けない」と言つて、お斷りしたら、「それは困る。こつちの面目丸つぶしです」と言つて來た。「丸つぶれ」でなく、「丸つぶし」と言つてゐるのも妙である。これでは僕が、大井廣介の面目を踏みつぶした事になる。ものの考へかたが、既に常人とちがつてゐる。實に、不可解な人である。僕は、いつたい、なんの因果で、四百五十六字といふ文章を書かなければいけないのか。原稿用紙を三十枚も破つた。稿料六十圓を請求する。バカ。いま拂へなかつたら貸して置く。

完

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