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TORENDIA

苦悩の年鑑

本文約7,600字 ・ 読了時間 約16分

あらすじ(AIが作成しました)

明治天皇崩御の折の幼い記憶、十歳頃の民主主義をめぐる経験、二・二六事件や大東亜戦争への憤りなど、自身の思想的遍歴と個人の歴史を断片的に綴る。周囲の思潮や政治的動向に左右されず、個人の日常描写を通じて時代の思潮を探りつつ、特定の主義主張に固執する思想家たちへの違和感を表明する。かつての自身の民主派から保守派への変遷を振り返りながら、新しい思潮の誕生を夢想し、自身の生きた軌跡を率直な事実の羅列として提示する。

太宰治

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時代は少しも変らないと思う。一種の、あほらしい感じである。こんなのを、馬の背中に狐が乗ってるみたいと言うのではなかろうか。

いまは私の処女作という事になっている「思い出」という百枚ほどの小説の冒頭は、次のようになっている。

「黄昏のころ私は叔母と並んで門口に立っていた。叔母は誰かをおんぶしているらしく、ねんねこを着ていた。その時のほのぐらい街路の静けさを私は忘れずにいる。叔母は、てんしさまがお隠れになったのだ、と私に教えて、いきがみさま、と言い添えた。いきがみさま、と私も興深げに呟いたような気がする。それから、私は何か不敬なことを言ったらしい。叔母は、そんなことを言うものでない、お隠れになったと言え、と私をたしなめた。どこへお隠れになったのだろう、と私は知っていながら、わざとそう尋ねて叔母を笑わせたのを思い出す。」

これは明治天皇崩御の時の思い出である。私は明治四十二年の夏の生れであるから、この時は、かぞえどしの四歳であった筈である。

またその「思い出」という小説の中には、こんなのもある。

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