TRENDIA CLASSIC

諷詩

萩原朔太郎

1 / 1

友だちはひどく歪んだ顏をしながら、

虱に向つて話をした。

『虱や、ご生だからたからないでおくれ、

私にしつつこくしないでおくれ、

おまへはほんとに不愉快だ』

そして痒いところへ手をやらうともしなかつた。

この友だちは聖人だ。

萩原朔太郎の他の作品