TRENDIA CLASSIC

眺望する

萩原朔太郎

1 / 1

すべては黒く凍つてゐる さびしくかたまる岩の上に みじめに歪んだ松の幹に 景色は凍え、飢ゑ、まづしく光つて叫ぶばかり。

この侘しく灰色なる空の下に 私たちの心はまづしく語り 孤獨になやみて重たくよりそふ 少女よ あの遠い空の雷鳴をあなたは聽くか かしこの空にひるがへる 浪浪の高いひびきをあなたは聽くか。

過去よ ながいながい孤獨の影よ その影を岩にひきずる 冬の日の薄暗い濱邊に立つて 意味のふかい人生を見る。

萩原朔太郎の他の作品