日本の伝説
本文約104,500字 ・ 読了時間 約210分
あらすじ(AIが作成しました)
日本各地に根付く伝説を収集し、その背景にある真理や意義を考察する。特定の土地に伝わる古くからの言い伝えを、単純かつ鮮やかな物語として紹介する。伝説と昔話の違いを植物と動物に例えて解説し、伝承がそれぞれの土地の土壌や歴史と共に成長していく過程を描く。本書は、消えゆく伝説の断片を記録し、その背後にある人々の信仰や生活文化の変遷を辿ることで、読者の好奇心を喚起し、日本文化の深い層に迫る試みを収める。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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再び世に送る言葉
日本は伝説の驚くほど多い国であります。以前はそれをよく覚えていて、話して聴かせようとする人がどの土地にも、五人も十人も有りました。ただ近頃は他に色々の新に考えなければならぬことが始まって、よろこんで斯ういう話を聴く者が少なくなった為に、次第に思い出す折が無く、忘れたりまちがえたりして行くのであります。私はそれを惜むの余り、先ず読書のすきな若い人たちの為に、この本を書いて見ました。伝説は斯ういうもの、こんな風にして昔から、伝わって居たものということを、この本を読んで始めて知ったと、言って来てくれた人も幾人かあります。
日本に伝説の数が其様に多いのなら、もっと後から後から別な話を、書いて行ったらどうかと勧めて下さる方もありますが、それが私には中々出来ないのです。同じような言い伝えを、ただ沢山に並べて見ただけでは、面白い読みものにはなりにくい上に、わけをきかれた場合にそれに答える用意が、私にはまだととのわぬからであります。一つの伝説が日本国中、そこにもここにも散らばって居て、皆自分のところでは本当にあった事のように思って居るというのは、全く不思議な又面白いことで、何か是には隠れた理由があるのですが、それが実はまだ明かになって居らぬのです。私と同様に何とかして之を知ろうとする人が、続いて何人も出て来て勉強しなければなりません。その学問上の好奇心を植えつける為には、よっぽどかわった珍らしい話題を、掲げて置く必要があるので、そういう話題がちょっと得にくいのであります。白米城の話というのを、今私は整理しかかって居ります。十三塚の伝説も遠からずまとめて見たいと思って居ますが、斯ういうのが果して若い読者たちの、熱心な疑いを誘うことが出来るかどうか。とにかくにこの本の中に書いたような単純でしかも色彩の鮮かな話は、そう多くはないのであります。