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TORENDIA

鳩つかひ

本文約14,600字 ・ 読了時間 約30分

あらすじ(AIが作成しました)

平和の使者と言われる鳩を悪魔の使者と化し、富豪の家庭から高価な宝石を脅し取る事件が相次ぐ。杉山三等書記官のもとにもダイヤを奪う脅迫状が届き、赤星刑事は犯人を誘き出そうと護衛にあたる。捜査の過程で赤星は、宝石の顧客情報を熟知する保険外交員の岩城文子に疑いの目を向ける。彼女の隠れ家を特定した刑事らが踏み込むと、文子は自らの指輪を投げつけ、窓から飛び去るという衝撃的な行動で警察の追求を拒絶する。

大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子

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悪魔の使者

「くそッ! また鳩だ。これで四度目か」

立松捜査課長は、苦り切った表情で受話機を切ると赤星刑事を顧みて、吐き出すようにそう言った。

平和の使者と言われる鳩が、悪魔の使となって、高価な宝石を持つ富豪の家庭を頻々と脅かしているのである。

この訴えを聞いてから早くも一カ月余りになるが、未だに犯人の目星さえつかず、あせりにあせっている矢先、またしても今の訴えだ。

「今度は誰です?」

赤星刑事は、眼を輝かしながら、急き込むように尋ねた。

「杉山三等書記官の処だ。氏は目下賜暇帰朝中で東京にいるが、明後日の東洋丸で帰任することになっている。君も知っての通り米国娘と婚約中なので、お土産に素晴らしいダイヤを銀座の天華堂から買ったんだ。それが昨日の午後だ。ところが今日五時頃外出から帰ってみると、大きな包みが届いている。それが君、例の鳥籠なんよ。中にはお定まりの伝書鳩が一羽入っていて、その脚に手紙と小さな袋が結えてあり、

汝が昨日求めたダイヤをこの袋に入れ、鳩につけて放すべし。もしこの命令に反かば、汝の生命無きものと覚悟せよ。

と例の凄い脅し文句が書いてあると言うんだ」

捜査課長は立上りながら、外套に手を通すと、

「さ、これから杉山氏の処へ急行だ。君も一緒に頼む」

緊張に面を硬ばらして言った。

二十分の後。

立松は赤星刑事を伴って、グランド・ホテルに杉山書記官を訪ねたのである。

そこには例の鳥籠を囲んで、早くも二三の人が、騒がしく話し合っていた。

瀟洒な服装をした背の高い男がこのホテルの支配人、でっぷり肥った五十がらみの赤ら顔が宝石を売った天華堂の主人、三十七、八と思える洋装の美婦人が保険会社の外交員岩城文子である。

「僕は、僕は、こんな脅し文句で絶対に出すのは厭です、昨日ダイヤを求めると、すぐ保険を附けたのです。ですから、この手紙を受取ると、天華堂さんと、岩城さんに急いで来て頂きました――」

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