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TORENDIA

恋しき最後の丘

本文約590字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

うら若き日の憧れや悲しみを抱く語り手が、独り琉球節の口笛を吹きながら墓場のほとりを彷徨い、夕暮れの窓辺で思いを巡らせる。棕梠の若葉がそよぐ丘の上で、かつての面影を追い求めながらKの君を待ちわびる心情を綴る。自然の風景や暮れゆく夕陽に重ねて、深い悲しみと魂を圧するような夜の暗闇に直面する様子を描く詩集である。

漢那浪笛

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🎧 恋しき最後の丘 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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その一

うら若かき頃の、悲しきあこがれ………

草葉の息ふきかへす甘き香り、

艶はしき花の笑ひもながめて過ぎぬ、

木の間にさへずる、鳥の歌をきゝ、

悲しみは眼を閉ぢて、暫時やすらひもせし、

されど、とく新らしき悲しみに転りぬ、

何をもて、この闇を照さむ、

空を仰げば恐ろし………

いざさらば、独り琉球節の一曲を、

口笛にふるわせ、

うらやすき墓場のほとりにさ迷はむ、

そは音なき響きを(聞)かんとや………

その二

わが思ふ女のありやなしや、

まよはしきかな、

夕暮の窓にもたれて、蒼白き息ふくわれも、

またありやなしや、

あなうたがはし、

蚊のなく声を、君が悲しき唄とやきかむ、

柔風の木の葉にすがる、たはふれを、

君が、鬢のほつれもやきかむ、

淋しき夕べの鏡もきこゆ、――

森の彼方、君住む墓のほとりにやはあらむ、

今なり! われは独りさ迷ひゆかむ………

夕べの鐘をしたひて、

その音に耳を沈めて。

その三

なつかしい丘の上、

棕梠の若葉のそよぎ、小鳥の歌、

傾むきつくす夕陽も、

見る/\最後の接吻をのこして、

深い/\海の彼方へ去らうとする、

なつかしい丘の上に、Kの君を待つ心よ!

夢を語るやうな暮の風に顫へる、

葉づれの音に眼が狂へば、

西へ東に、足が動きだす………

夫れと思ふ俤が、更に眼にとまらぬ、

胸を抱いて、深い悲しみに沈む、

林の間に、夜の色が浮び出した………

黒ろい恐ろしい影は、

私の魂を圧しはじめる、

もう是れが私の、Kの君に対する最後だ!

完

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