TRENDIA CLASSIC

特殊部落ということについて

喜田貞吉

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余輩がさきに「特殊部落研究号」(本誌二巻一号)を発行して、いわゆる特殊部落なるものの由来沿革を明らかにし、彼らが決してことに疎外排斥せらるべき性質のものにあらざる所以を説明すべく試みた事は、読者諸君の今なお耳目に新たなることと信ずる。当時紙数の制限と、編纂期日の束縛とによって、説いて委曲を悉くす事能わず、研究またすこぶる不十分で、後の訂正増補を要すること少くなかったにかかわらず、幸いに読者諸君の甚大なる注意を促すことを得て、爾来これに関する感謝・賞賛・希望・鞭韃等の書面や、研究報告の論文記事等の原稿は、積んで編者の机上にうずたかきをなすに至った。これが為に余輩の研究上裨益するところ甚だ多きを致したのは、余輩の深く感謝するところである。ここにおいて余輩は、さらに他の一般特殊民に関する諸研究をもこれに合せて、早晩前者の姉妹篇とも云うべき一つの増大号を発行し、以てこれら篤志家各位の好意に酬いんことを予期して、しばらくこの方面に関する論説記事の掲載をなるべく差控える方針をとっておった。しかるに不幸にして近時余輩の有する余暇と余輩の健康とは、当分かくの如き増大号の頻繁なる発行を見合すべく余儀なくせしむるに至ったが為に、余輩は前々号以来、俗法師の研究を始めとして、再びこれら特殊民に関する雑多の研究報告を、断片的に本誌普通号上に分載発表することとした。これまた既に読者諸君の御注意に上った事と信ずる。願わくは熱心なる同好諸君、余輩のこの挙に賛して、ますます各地における各種特殊民の過去現在の状況に関する有益なる報告を寄せられて、余輩の研究を助成し給わんことを。

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