TORENDIA
港に沈んだ鉄片
の希望
仲村渠
TORENDIA
港に沈んだ鉄片の希望
本文約430字 ・ 読了時間 約1分
あらすじ(AIが作成しました)
浚渫船が浚う港の底へ沈んだ鉄片の行方と、海軍大尉が操るランチ、外国汽船が行き交う港街の喧騒を詩的に描き出す。突堤に並ぶパラソルや高層ビルがそびえる都市の風景、そして避病院の塀際に転がる空鑵まで、港という空間で交錯する多様な事物や、日光を渇望する詩的自我の感覚を鮮やかに綴る。
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🎧 港に沈んだ鉄片の希望 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星
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浚渫船はいづこの海を浚つてゐるのだらう 鉄片は沈んで沈んで港の底 眇の眸を覗かせるよ ああ気なげな空想を抱いてゐるぞ ねそべつた比目魚が吐きだす泡にぶらさがり ゆらゆら海面に昇つてゆく鉄片の願望よ おをい! 海上遠く、青空映す友だちよ 針魚よりも鋭い腰の短剣め! あいつの主人はランチを飛ばして海軍大尉の美男子だ 浮標めの自由な展望よ あいつは海と空の骰子だ あいつは燈台の横腹にさしこむ朝日の第一線にも見あきてゐよう 港外を素通りする外国汽船ののつぽな煙筒 出帆を敲く銅鑼めの得意な面つきよ あいつの面に照り反す海 空 太陽よ 麝香。白粉。ワキガの花粉を吹飛ばす 突堤に乱れるパラソルの花園! 輝きつゞく港街は晴天の祭日だ 帝国銀行の高楼を積上げるつみあげる 起重機の妖しい肘よ 混血児 人力車 タバコ 避電針 アンテナ 気象台 煙 鳥 雲 飛行機 飛行機の両翼を凛乎と張る細い針金よ 岬遠い避病院の塀ぎはに転つた哀しい空鑵 あ、あ、潰れた空鑵にだつて落日が光る光る ぼくは嗅ぎたいよ 日光が嗅ぎたいよ あつたかい鴎の糞がたべたいよ
完
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