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TORENDIA

大脳は厨房である

本文約360字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

閉じた瞼の奥で、眼球という愚かな料理女が黴びたパンやソーセージを鍋にかけ、うす暗い厨房のような大脳の中で何かを煮込み続けるさまを描く富永太郎の詩。

富永太郎

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🎧 大脳は厨房である / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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眼球は日光を厭ふ故に

瞼の鎧戸をひたとおろし

頭蓋の中へ引き退く。

大脳の小区画を填めるものは

困憊したさまざまの食品である。

青かびに被はれたパンの缺け、

切り口の饐えたソオセエジ……

オリーヴ油はまださらさらと透明らしいが

瓶一面の埃のために

よくは見えない。

眼球は醜い料理女である。

厨房の中はうす暗い。

彼女は床のまん中で

少しばかりの獣脂を焚く。

背の低い焔が立つて

油煙がそつと 頭蓋の天井に附く。

彼女は大脳の棚の下をそゝくさとゆきゝして

幾品かの食品をとりおろす。

さて 片隅の大鍋をとつて

もの倦げに黄いろな焔の上にかける……

彼女はこの退屈な文火の上で

誰のためにあやしげな煮込みをつくらうといふのか。

彼女は知らない。

けれども、それが彼女の退屈な

しかし唯一の仕事である。

大脳はうす暗い。

頭蓋は燻つてゐる。

彼女は――眼球は愚かなのである。

完

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