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TORENDIA

忠告

本文約500字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

思想の重圧に眠れぬ夜の過ごし方や、悪意に満ちた悔恨に苛まれる夜の処し方を綴る。思想には肘掛椅子に座りシガレットをふかすことが有効だが、悔恨による苦悩には昼がもたらす退屈という麻酔剤を待つほかない。眠れぬ夜にアルコールを摂取することは健康を損なうだけでなく、かえって悔恨を翌日まで長引かせる要因となるため避けるべきだと、精神の均衡を保つための具体的な忠告を説く。

富永太郎

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🎧 忠告 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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思想の重圧のために眠りがたい躰には、起つてロココ風の肘掛椅子に腰を下ろすことが必要である。そして膝を組んで、壁の薄浮彫の淡いニユアンスを眺めながら、細巻のシガレツトを一本ふかすうちには、どんな重苦しい思想の悪夢でも退散させることができるものである。

しかし、もしあなたがたを圧し付けて眠を妨げるものが鈍重な「思想」ではなくて、あの悪意にみちた「悔恨」であつた夜は――あなたがたが道徳家でないならば、きつとこんな夜を知つておいででせう。なぜならば、非道徳家は悔恨を懐柔すべき何らの道徳をも持ち合せないから――どうしたらよいであらうか。その時は残念ながら夜明けを待つほかはないのです。能のない顔をした昼が来て、「退屈」といふ麻酔剤をこの世の物すべての上に撒き散らすまで待つほかはないのです。たとひ眠りがたい夜が、床の上に転輾する身にとつて、いかほど長く感ぜられようとも。

あなたのテーブルの上にある罎は、あれはコニヤツクですか。あゝ、それはよした方がいゝです。それは第一あなたの健康に害があるし、おまけに昼が持つて来てくれる麻酔剤の効果を奪つて、あなたの肉体を噛む悔恨を翌日まで引き延すに役立つだけのものですから。

完

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