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TORENDIA

無題

本文約280字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

熱病のあとの朝、濠端に広がる光景と、そこに立ち現れる若い女性の姿を通して、身のうちにわきあがる欲情と生の実感を描く富永太郎の詩。

富永太郎

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🎧 無題 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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幾日幾夜の 熱病の後なる

濠端のあさあけを讃ふ。

琥珀の雲 溶けて蒼空に流れ、

覚めやらで水を眺むる柳の一列あり。

もやひたるボートの 赤き三角旗は

密閉せる閨房の扉をあけはなち、

暁の冷気をよろこび甜むる男の舌なり。

朝なれば風は起ちて 雲母めく濠の面をわたり、

通学する十三歳の女学生の

白き靴下とスカートのあはひなる

ひかがみの青き血管に接吻す。

朝なれば風は起ちて 湿りたる柳の葉末をなぶり、

花を捧げて足速に木橋をよぎる

反身なる若き女の裳を反す。

その白足袋の 快き哄笑を聴きしか。

ああ 夥しき欲情は空にあり。

わが肉身は 卵殻の如く 完く且つ脆くして、

陽光はほの朱く 身うちに射し入るなり。

完

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