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TORENDIA

「わすれなぐさ」はしがき

本文約400字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

若き日々のはかない恋や涙を、るりいろの空に咲く勿忘草の花になぞらえ、幼い頃からの詩集より歌いやすい小曲を選び集めたと語る北原白秋のはしがき。

北原白秋

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🎧 「わすれなぐさ」はしがき / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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少年老い易し、麗人は刻を千金の春夜に惜む。われらがわかき日の小詩はまさに涙を流して歌ふべし。瑠璃いろ空のかはたれにわすれなぐさの花咲かばまた、過ぎし夜のはかなき恋も忍ぶべし。ここに選び出でたるはわが幼きより今にいたるあらゆる詩集の中より、ことに歌ひ易く調やさしき断章小曲のかずかず、すべてみな見果てぬ夢の現なかりしささやきばかり、とりあつむればあはれなることかぎりなし。かの西の国の詩人が

ながれのきしのひともとは

みそらのいろのみづあさぎ

なみことごとくくちづけし

はたことごとくわすれゆく。

と歌ひけむ。なにごともながれゆく水のながれのひとふれのみ。忘れえぬ人びとよ、われらが若さは過ぎなむとす。嘆かば嘆け。羊の皮の手ざはりに金の箔押すわがこころ、思ひあがればある時は、紅玉サフアイヤ、緑玉、金剛石をも鏤めむとする、何んといふ哀しさぞや、るりいろ空に花咲かば忘れなぐさと思ふべし。

大正四年四月白秋識

完

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