餅を買う女
本文約550字 ・ 読了時間 約2分
あらすじ(AIが作成しました)
小夜の中山の夜泣石伝説の源流を語る本書は、宋の「夷堅志」にも通じる怪異を描く。宣城の地、妊娠中に亡くなった妻を葬った古廟の周辺で、夜な夜な灯火や赤児の泣き声が目撃される。ある餅屋のもとへ毎日赤児を抱いて現れる女の素性を確かめるべく、店主が密かに尾行を行う。怪しい気配を感じ取り姿を消した女の足跡を追い、草むらの塚へと辿り着いた村人たちは、その地で不可解な事実に直面し、残された赤児の行方を見守ることとなる。
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小夜の中山の夜泣石の伝説も、支那から輸入されたものであるらしく、宋の洪邁の「夷堅志」のうちに同様の話がある。
宣城は兵乱の後、人民は四方に離散して、郊外の所々に蕭条たる草原が多かった。
その当時のことである。民家の妻が妊娠中に死亡したので、その亡骸を村内の古廟のうしろに葬った。その後、廟に近い民家の者が草むらの間に灯のかげを見る夜があった。あるときはどこかで赤児の啼く声を聞くこともあった。
街に近い餅屋へ毎日餅を買いにくる女があって、彼女は赤児をかかえていた。それが毎日かならず来るので、餅屋の者もすこしく疑って、あるときそっとその跡をつけて行くと、女の姿は廟のあたりで消え失せた。いよいよ不審に思って、その次の日に来た時、なにげなく世間話などをしているうちに、隙をみて彼女の裾に紅い糸を縫いつけて置いて、帰るときに再びそのあとを附けてゆくと、女は追ってくる者のあるのを覚ったらしく、いつの間にか姿を消して、赤児ばかりが残っていた。糸は草むらの塚の上にかかっていた。
近所で聞きあわせて、塚のぬしの夫へ知らせてやると、夫をはじめ一家の者が駈けつけて、試みに塚を掘返すと、女の顔色は生けるがごとくで、妊娠中の胎児が死後に生み出されたものと判った。
夫の家では妻のなきがらを灰にして、その赤児を養育した。
完