TRENDIA CLASSIC

現在の日本民窯

柳宗悦

1 / 11

私たちはこれから九州の南端を発して北へと上り、四国を一瞥し、山陽山陰を廻り、中部の諸国を経て、北国に進み、転々と現在の民窯を訪ねようとするのである。もとより訪ね得ないもの、知り得ないものなど多々あるに違いない。しかし現状を知り得たもの総じて四十数カ所に及ぶ。一カ所に多くは数個のまたは十数個の窯を有つから窯数からすれば概算少なくとも二百には達するであろう。私たちはこのために長い旅をつづけた。

この本を編纂するに当って、四十数カ所の全部について記事を集めることが出来なかったのは残念である。しかしその大部分と、主要なほとんど凡てを網羅し得たから、これでほぼ現在の日本民窯を代表させ得ると信じる。その多くは在来の陶器史に記載なきものであるから、将来の研究者には役立つであろう。私たちは今後も埋もれた窯を続いて紹介したい考えである。

以下諸篇は十二人の筆になるので、文体や、叙述の風や、観点や、精粗は一様ではない。ただ一冊に纏める関係上なるべく簡単に各窯の歴史、品目、特色等を略述するに止めた。

琉球壺屋

琉球の窯場を壺屋と呼ぶ。古くは色々の個所に窯場があった。中で湧田とか知花とか、名がよく聞える。しかし天和の頃一カ所に集められ、今の壺屋を形造った。那覇郊外の村であったが、今は町となり市の一部に編入された。瓦焼は別だが、沖縄では今も壺屋町だけが焼物を作る窯場として現存している。壺屋という呼び方は、丁度本土で「皿山」と呼ぶのと同じである。

柳宗悦の他の作品