TORENDIA
小鹿田窯への懸
念
柳宗悦
TORENDIA
小鹿田窯への懸念
本文約1,900字 ・ 読了時間 約4分
あらすじ(AIが作成しました)
大分県の日田にある小鹿田窯や福岡の小石原窯をめぐり、急激な知名度の上昇に伴う外部からの干渉と、それによる伝統への危機感を論じる。茶人や商人による無理解な注文や利得主義の介入が窯の質を損なうと警鐘を鳴らし、量よりも質を重んじる生産姿勢の重要性を説く。伝統の美を理解し尊重する真の協力者を得ることこそが、民窯の価値を保ちつつ健全な発展を遂げるための根本的な条件であることを主張する。
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誰にも読めぬ大分県日田の皿山たる小鹿田(おんだ)の地名が、今では多くの方々の口に上るまでに至った。つい三十年前には山間に深く隠れて、車も通わぬ無名のこの窯場が、今や内地のみではなく世界からも客を集めて、小型でもバスまでが日々通うに至った。
しかし皮肉なことに、かかる急変が漸次この窯に幾多の危機を招くに至ったのを残念に感じる。今や窯を毒する様々な外敵が迫ってくるからである。実はその責任の一半は、この窯を広く世に紹介した私の双肩にかかるので、考えあぐんでいる次第である。
窯への害毒の第一は、茶人や何も分らぬ客たちの無理解な色々の注文であり、第二は利得を忘れぬ人間どもの度々の介入である。出来得るなら、この大切な窯の正しい味方となって頂きたいといつも心に念じる。私は最初この窯の価値に対して熱心な味方となった者であるが、今ではむしろその外敵と戦うはめに至った事を残念に考える。讃美者よりも、実は贔屓の引き倒しの方に害がかえって多く、また今では利得主義の人々がなおもこの窯の外敵なのを覚えるのである。これは果して私の単なる杞憂に過ぎないであろうか。
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