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TORENDIA

母の死

本文約6,700字 ・ 読了時間 約14分

あらすじ(AIが作成しました)

昭和九年秋、重態に陥った母の枕元で、息子が死と向き合いながら日々を綴る。幼少期からの不自然な抑制により、互いに心を通わせることを避けてきた母子。病床で衰弱する母に対し、息子は頬をなでるなどして初めて直接的な愛を伝えるようになる。母は苦痛の中で時折微笑みを見せ、家族に見守られながら静かに最期の時を迎える。本書は、愛別離苦の淵に立つ作者が、律法に縛られず自然のままに生きるべきことを訴える手記である。

中勘助

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🎧 母の死 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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これらの断片は昭和九年九月の初旬母が重態に陥ったときから十月の初旬その最後のときまでのあいだに書かれたものである。

断片。この愛別離苦のうちから私が人人におくる贈り物は「律法を妄りに人情の自然のうえにおくな」という忠告である。私どもは世の親と子があるように、はたあるべきようにお互に心から愛しあっていながら、すくなくとも私のほうではよくそれを承知していながら真にうち解けて馴れ親しむことができず、いつも一枚のガラスを隔てて眺めてるような趣があった、そこには律法のほかに別にまたいろいろ錯雑した理由、原因もあっただろうけれども。

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