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TORENDIA

結婚

本文約5,500字 ・ 読了時間 約11分

あらすじ(AIが作成しました)

姉の死後、独身生活の行き詰まりを感じた著者は、兄の世話を条件に結婚を決意する。姪の紹介で出会った女性と見合いを重ね、彼女の父である老士官とも信頼関係を築き結婚へ向かう。しかし式当日の朝、長年同居した兄が急死する。著者は喪を隠して式を執り行い、死と隣り合わせの厳粛な心境で新生活を迎える。互いに心身の疲れを抱えた男女の再出発と、兄との確執に終止符を打つまでの経緯を描く。

中勘助

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🎧 結婚 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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姉の死と同時に私のところの家庭はもう久しく予期された行きづまりに到著した。残されたのは頭が悪くてもののいえない七十をこした兄と六十に手のとどく私、どうにもならない。病中は私が主婦の代役をし、お見舞にきて下さる親戚やお知合いの婦人の好意に頼って凌いできたもののそれは余儀ない窮余の窮策で、いつまでも続くものでなく、続けるべきものでもない。で、私は考えてたことを実行することにした。結婚。私は誰彼に候補者の物色をお願いした。ある人は祝福してくれた。ある人は悲愴な顔をした。また他の人は意外なことが降って湧いたように仰天した。何でもないものを。結婚しないのも私の思慮なら結婚するのも私の思慮である。場合に応じて適当な生活法をとるだけのことだ、永い独身生活から結婚生活への転換はなにか際立った感じを与えるだろうけれども。皆にお願いした私の言葉はいろいろだったろうが結局条件は 健康で、善良で、地味で、兄の世話をよくしてくれる人で、少しは話のわかる人というのだった。事情が許さないから出来るだけ早く。

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