TRENDIA CLASSIC

小泉八雲の家庭生活

萩原朔太郎

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万葉集にある浦島の長歌を愛誦し、日夜低吟しながら逍遥していたという小泉八雲は、まさしく彼自身が浦島の子であった。希臘イオニア列島の一つである地中海の一孤島に生れ、愛蘭土で育ち、仏蘭西に遊び米国に渡って職を求め、西印度に巡遊し、ついに極東の日本に漂泊して、その数奇な一生を終ったヘルンは、魂のイデーする桃源郷の夢を求めて、世界を当なくさまよい歩いたボヘミアンであり、正に浦島の子と同じく、悲しき『永遠の漂泊者』であった。

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