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TORENDIA

私の処女出版

本文約440字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

太宰治が読んでくれた作品や、井伏鱒二・亀井勝一郎が題をつけてくれた作品を収めた処女作品集「落穂拾ひ」への愛着を語る小山清のエッセイ。

小山清

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私の処女出版、と言つてもそれはついこなひだのことである。丁度一年まへに、私は初めて、「落穂拾ひ」といふ貧しい小説集を出した。そして私は分不相応な好意を受けた。けれども、好意といふものは、本来さういふものなのであらう。道ばたの雑草に露が降りるやうな。私もまた、これまでに書いたものは、みんな不満である。けれども、愛着といふことは、これはまた別であらう。私は、この本の中にある作品のどれにも、愛着を持つてゐる。「わが師への書」と「聖アンデルセン」は、故太宰治が読んでくれたものである。また「朴歯の下駄」は井伏鱒二氏が「落穂拾ひ」は亀井勝一郎氏が、それぞれ題名をつけて下さつた。そのほかの作品も、みんな、隠れた好意のこもつてゐるものである。また、自分の最初の小説集が、太宰さんと関係の深かつた筑摩書房から出版されたといふことも、私にはうれしいことの一つである。私はこの本に、ついあとがきを書かなかつたが、この文章がその代りみたいになつてしまつた。

(昭和二十九年七月『東京新聞』)

完

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