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TORENDIA

学生時代の久米正雄

本文約2,300字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

高等学校の教室で野球のユニフォームを着て現れた久米正雄は、その才気と愛嬌でクラスの人気者となる。本書を綴る菊池寛は、芝居熱が高じて門限を破り寮の委員に捕らえられた事件や、狂言の余興に出演して冷や汗をかいた逸話などを通じ、天真爛漫な人柄や学生時代の交流を描く。独逸語の授業での頓才や、松岡を含めた三人で挑んだ狂言「鎌腹」での冷ややかな観衆の反応など、今も忘れがたい若き日の久米の姿を回想する。

菊池寛

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🎧 学生時代の久米正雄 / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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高等学校に入学すると間もなく教室で、自分の机の直ぐ傍に顔のやゝ赤い溌剌たる青年を見附けた、その青年はASAKAと云ふ字を染めぬいた野球のユニホームを着て居たので、少からず我々を駭かしもすれば、笑はせもしたものだ、さうした稚気がその頃の久米には可なりあつた。其処がまた久米の可愛い所ではあつたが。

間もなく久米はそのユニホームを脱いだ事は脱いだが、そのユニホームのお蔭で二三度野球部の選手達の為に、運動場へ引きずり出されて練習をやらされてゐるのを見た事がある。

その頃から久米は天性の才気とその野次性と茶気との為に、教室でなくてはならぬ愛嬌者になつてしまつて居た。

久米の教室に於ける機智や頓才は幾度我々を欣ばしたか分らないが、今迄も忘れないのは独逸語の時間に久米が独逸語の何とか云ふ字(古い鉄砲の名)を、「種ヶ島」と訳したので皆の大喝采を博した事である。

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