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TORENDIA

生活の組織

本文約1,000字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

敗戦後の日本が直面した食糧難と輸送の混乱を通じ、社会の根底にある「生活の組織」のあり方を考察する。食糧不足の背景には物資そのものの欠乏だけでなく、流通の不備や複雑化した生活様式といった組織的な問題が潜んでいると指摘する。さらに、欧米の社会生活における個人間の相互扶助的な仕組みを例に挙げ、統制に頼らずとも個人の生活が機能的に成り立つ背景には、社会に浸透した合理的な組織構造が存在することを論じる。

中谷宇吉郎

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🎧 生活の組織 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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敗戰後の混亂時代に、生活の組織というものについて考えさせられたことがある。

食糧難の結果、止むを得ないことではあったが、皆が買い出しに出かけて、薯や野菜をつめた大きいリュックを背負って、汽車の窓から出入りした。あの汽車で薯や野菜だけを輸送したら、買い出しの量の何十倍かを運べたであろう。食糧と同時に、人間まで運ぶので、輸送難を益々深刻化したわけである。

食糧不足には、二つの要素があって、一つは食糧そのものの不足、今一つは輸送及び配分の問題である。そして後者の方が、とかく閑却され勝ちであるが、案外に重要な要素をなしている。そしてそれは組織の問題である。

敗戰後の數年間に、われわれがなめたあの困難の中には、組織が崩壞したために原因する部分が、相當の割合を占めていたようである。

もちろん戰爭中及び敗戰後というような非常時において、組織の重要性は、十分に認められていたことで、今更述べたてるまでもない。統制などということも、その點を考えて作られたものである。しかし私が言おうとするのは、もっと深いところにある組織、いわば生活の組織ともいうべきものである。

この生活の組織は、日本のような國では、非常に複雜になっている。生鮮食料品を常用していることが、一つの大きな原因であるが、その他新舊兩樣の生活樣式が混っている、という點もある。それで統制が巧く行かなかったのである。

アメリカは、個人主義の國であって、各自が勝手に羽をのばしたがる。その點で、國全體としての生活の組織は、なかなか複雜になる。しかしこの頃感じたことは、統制の形式を採らないで、この生活の組織が、なかなか巧く立っているという點である。

夏休みに、小學校の先生が、ヨーロッパへよく旅行する、という話を、前に書いたが、これなども、生活の組織が立っているので、巧く行くのである。普通そういう人たちは、アパートに住んでいるが、たいたい[#「たいたい」はママ]留守中の三ヵ月を、友人か、その紹介の人に貸して行く。それでその間の家賃はいらないのである。

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