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TORENDIA

働く婦人

本文約1,100字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

アメリカにおける婦人の就業状況と、それに伴う社会問題を論じる。成年の婦人が共稼ぎを常識とする社会背景を解説し、鉄道労働者から技術職まで多岐にわたる職業へ女性が進出している現状を挙げる。一方で、母親が家庭に不在となる能率重視の生活環境が、深刻な青少年犯罪の増加という社会的な悩みを引き起こしていることを指摘し、婦人の就業問題が家庭に及ぼす影響について考察する。

中谷宇吉郎

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🎧 働く婦人 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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「かつては搖籃をゆった手が、今はベーコンを持ち歸る」という見出しの記事があったので、讀んで見たら、アメリカの婦人の就業問題であった。

アメリカでは、成年の婦人が、家にぶらぶらしているということは、あまりない。學校を卒業した娘が、家にいて、嫁入支度の藝事など習っていたら、どうかしたのかと不審がられるであろう。結婚しても、たいてい夫婦共稼ぎが常識になっている。細君が家でごろごろして居られるのは、獨立家屋をもち、自動車が二臺あるという階級と思って、まず差しつかえない。

男も女も、一般的にいって、非常によく働いて、國全體の生産能率を上げている。そして天文學的な大量生産をして、國力を蓄積し、國民の生活水準の向上に資している。ここまでは、たいへん結構な話のようであるが、その蔭には、深刻な惱みがある。世の中には萬全ということはない。

最近勞働省と商務省とから出された協同報告によると、現在アメリカで、職業についている婦人の總數は、二千二十萬人を超えている。全就業者六千萬人のうち、婦人がその三分の一を占めているわけである。

數ばかりでなく、職業の種類も、次第に男子との區別がなくなって來ている。鐵道勞務者、水夫、熔接工、電車の運轉手、發電所の運用技術者、一般勞務者など、從來男の恆久的職業と考えられている所に、女がどんどん進出して來ている。家庭經濟の補助という意味ではなくて、恆久的職業としての婦人の就業が多くなった。波止場人足にまで進出して來て、一九五〇年の調査でも、既に七百五十四人を數えているから、今ではもっと増えているにちがいない。

專門の知識をもった技術者も、非常に増えて來て、女醫が一萬二千人、辯護士が六千人、牧師が七千人近くという調子である。過去十年間にそれぞれ約五割増しているそうであるから、この割合で増えたら、たいへんなことになる。現在既に細君の收入によって生活し、自分は家事をやつて[#「やつて」はママ]いる男が、八萬六千人いるそうである。

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