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TORENDIA

東京だより

本文約2,600字 ・ 読了時間 約6分

あらすじ(AIが作成しました)

戦時下の東京で産業戦士として働く少女たちの姿や、画かきの友人の徴用に伴う工場訪問の様子を綴る。著者は、画かきの小説集の表紙画をめぐる交流の中で、工場の事務室で働く少女たちを観察する。個性を失い一様にひたむきに働く少女たちの中に、ひとり際立って美しい少女の姿を見出す。その美しさの理由を独り合点していた著者が、作業を終えた少女たちが工場から出てくる光景を目にし、その少女が松葉杖をついて歩く姿に触れるまでを描く。

太宰治

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🎧 東京だより / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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東京は、いま、働く少女で一ぱいです。朝夕、工場の行き帰り、少女たちは二列縦隊に並んで産業戦士の歌を合唱しながら東京の街を行進します。ほとんどもう、男の子と同じ服装をしています。でも、下駄の鼻緒が赤くて、その一点にだけ、女の子の匂いを残しています。どの子もみんな、同じ様な顔をしています。年の頃さえ、はっきり見当がつきません。全部をおかみに捧げ切ると、人間は、顔の特徴も年恰好も綺麗に失ってしまうものかも知れません。東京の街を行進している時だけでなく、この女の子たちの作業中あるいは執務中の姿を見ると、なお一層、ひとりひとりの特徴を失い、所謂「個人事情」も何も忘れて、お国のために精出しているのが、よくわかるような気がします。

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