本文へ移動
TORENDIA

随筆「断片」

本文約11,800字 ・ 読了時間 約24分

あらすじ(AIが作成しました)

京都帝大教授であった著者が、病気療養のために滞在した紀州田辺での日々を振り返りつつ、自身の随筆「断片」を巡る経緯と、その後に出会った難波大助との記憶を綴る。本書は、過酷な社会情勢下で学問と執筆活動を続けた自身の半生を省み、かつて自身が執筆した過激な内容の随筆が発売禁止となった際の状況や、社会主義への傾倒を通じた波乱に満ちた体験を回想しながら、自身の運の良さと現在の平穏な余生についてを論じる。

河上肇

🎧 まだ音声版はありません

リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 18

一

京都帝大の経済学部教授をしてゐた頃、大正九年九月の新学期から、私は経済学部の部長に補せられた。この地位には大概の教授がなりたがるのだが、私にとつて之は頗る迷惑であつた。と云ふのは、私はすでにその前年の一月に個人雑誌『社会問題研究』を創刊し、大概毎月一冊づつ之を刊行して居たから、いつも講義の準備に追はれてゐる私は、殆ど手一杯の仕事をして居るので、この上学校行政の俗務に携はりたくはなかつた。ただ学部の内規として、教授は就職順に一ヶ月づつ部長を勤めることになつて居たので、私一人がそれを断る訳にも行かなかつた。

河上肇の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本