湖水の女
本文約5,400字 ・ 読了時間 約11分
あらすじ(AIが作成しました)
山の上に住むギンは、湖水に現れる美しい女に出会い、妻に迎える。女は「何の落ち度もなく三度打たれたら湖に帰る」という約束を交わし、数多の家畜を伴って人間界へやって来る。二人は子供に恵まれ幸せに暮らすが、ギンは些細な拍子に妻の肩を叩く行為を繰り返し、警告を重ねられてしまう。やがて葬儀の席での妻の不可解な言動を咎め、三度目の接触をしてしまったギンは、妻と家畜を失い、深い悲しみの果てに湖へ身を投じる。
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一
むかしむかし、或山の上にさびしい湖水がありました。その近くの村にギンという若ものが母親と二人でくらしていました。
或日ギンが、湖水のそばへ牛をつれていって、草を食べさせていますと、じきそばの水の中に、若い女の人が一人、ふうわりと立って、金の櫛で、しずかに髪をすいていました。下にはその顔が鏡にうつしたように、くっきりと水にうつッていました。それはそれは何とも言いようのない、うつくしい女でした。
ギンはしばらく立って見つめていました。そのうちに、何だか、じぶんのもっている、大麦でこしらえたパンとバタを、その女の人にやりたくなって、そっと、岸へ下りていきました。
女は間もなく、髪をすいてしまって、すらすらとこちらへ歩いて来ました。ギンはだまってパンとバタをさし出しました。女はそれを見ると顔をふって、
「かさかさのパンをもった人よ、
私はめったに、つかまりはしませんよ。」
と言うなり、すらりと水の下へもぐってしまいました。
ギンは、がっかりして、牛をつれてしおしおと家へかえりました。そして、母親にすべてのことを話しました。母親は女の言った言葉をいろいろに考えて、
「やっぱり、かさかさのパンではいやなのだろう。今度は焼かないパンをもってお出でよ。」と、おしえました。それでギンは、そのあくる日は、パン粉の、こねたばかりで焼かないままのをもって、まだ日も出ない先に、いそいで湖水へ出かけました。
そのうちに日が山の上へ出て、だんだんに空へ上っていきました。ギンはそれからお午じぶんまで、じっと岸にまっていました。しかし湖水にはただ黄色い日の光がきらきらするばかりで、昨日の女の人はいつまでたっても出て来ませんでした。
それからとうとう夕方になりました。ギンはもうあきらめて家へかえろうともしました。
するとちょうどそこへ、夕日をうけた水の下から女の人がやっと出て来ました。見ると昨日よりも、もっともっとうつくしい人になっていました。ギンは、うれしさのあまりに口がきけなくて、だまってパン粉のこねたのをさし出しました。すると女はやっぱり顔をふって、
「しめったパンをもった人よ、