一本足の兵隊
本文約5,400字 ・ 読了時間 約11分
あらすじ(AIが作成しました)
誕生日プレゼントとして贈られた二十五人の錫の兵隊の中に、一人だけ足の足りない者がいた。その兵隊は、美しい踊り子の人形に心惹かれるが、窓から外へ投げ出されたことを機に、雨水の中を流され、魚に飲み込まれるなど過酷な運命に翻弄される。やがて元の部屋へ戻り、憧れの踊り子と再会するが、突如ストーブの中へ投げ込まれてしまう。足の不自由な兵隊と踊り子の、悲劇的な運命を描いた物語。
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一
或小さなお坊ちやんが、お誕生日のお祝ひに、箱入りのおもちやをもらひました。坊ちやんは、さつそくあけて見て、
「やあ、兵たいだ/\。」と、手をたゝいてよろこびました。そしてすぐに一つ/″\とり出して、テイブルの上にならべました。それは青と赤の服を着た、小さな鉄砲をかついだ、小さな錫の兵たいでした。すつかりで、ちようど二十五人ゐました。
これだけの兵たいは、もと、おもちや屋が或一本の錫のさじをつぶしてこしらへたので、言はゞ同じ血を分けた兄弟でした。それがみんなちやんと気をつけをして、まつ正面をにらんで立つてゐます。
ちよつと見ると、二十五人が、寸分ちがはない同じ兵隊のやうに見えますが、しかし、よく見ると、中にたつた一人、足が一本しかない兵たいがゐます。これはこしらへるときに、一番しまひで錫が足りなかつたのでした。
でもその兵たいは、一本足のまゝ、ほかの兵たいと同じやうに、まつすぐに立つてゐました。
テイブルの上には、そのほかに、まだいろんなおもちやがどつさりならんでゐました。その中で人の目をひく、一ばんきれいなおもちやは、ボール紙で出来た立派な西洋館でした。その部屋/″\の窓は、ちやんと切りぬいてあつて、のぞくと部屋の中がすつかり見えました。それから正面の入口のまん前には、ひくい青い立ち木にかこまれた円い池があります。その他は鏡で出来てゐるのでした。その中には、いくつかの蝋細工の小さな白鳥が、水に影をうつしておよいでゐます。それはまつたくきれいでした。
しかしその他よりもまだもつときれいなのは、入口の石段の上に立つてゐる女の人でした。それはボール紙を切りぬいてこしらへたのですけれど、それでも着物は上等のいゝ布で出来てゐて、くびから肩へかけて、細い青いリボンの襟かざりがつけてあります。その襟かざりは、きら/\した金紙でこしらへた、その女の人の頭ほどもあるやうな、大きなばらの花で胸のまん中に止めてあります。