北斗と南斗星
本文約2,300字 ・ 読了時間 約5分
あらすじ(AIが作成しました)
南陽の平原で麦を割る少年・趙顔は、未来を予見する旅人・管輅から二十歳になる前に早世するという宣告を受ける。驚いた父は管輅に救いを請い、助言に従って酒と鹿肉を携え、桑の木の下で碁を打つ二人の老人を訪ねる。少年が黙って供応を続けると、老人の一人が生死を記す帳面に書き加えられた少年の寿命を修正し、生命を延ばす。帰還した少年は、管輅からその二人が生を司る南斗星と死を司る北斗星であることを教えられる。
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趙顔という少年が南陽の平原で麦の実を割っていると、一人の旅人がとおりかかった。旅人は管輅という未来と過去の判る人であった。その旅人は少年の顔を見て、
「お前さんは、なんという名だ、気の毒なことだ」
と言った。少年は気になるので麦を割ることを止めて訊いた。
「なにが気の毒ですか、私は趙顔というのですが」
「そうかな、お前さんは、二十歳を過ぎないで、早世をするよ」
少年はおどろいて旅人の前へ往って地べたへ顔をすりつけた。
「早世することを知っていらっしゃるなら、長生することも御存じでしょう、どうか教えてください」
「人の生命は、天が掌ってるから、わしの力では、どうすることもできない」
旅人はこういってからずんずんとむこうの方へ歩いて往った。少年は自個一人の力ではどうにもならないので、父親に話して、父親から頼んでもらおうと思った。走ってすぐ近くにある自個の家へ帰り、父親の姿を見るなりあわただしく言った。
「お父さん、大変なことが出来ました、今、不思議な旅人が来て、私を見て、二十歳にならないで早世すると言いました、私は早世することが判るなら、長生することもできるだろうから、教えてくれと言ってたのみましたけれど、生命のことは、天が掌ってるから、わしにはどうにもできないと言って、往ってしまいましたが、あれは、ただの人でないと思います。お父さんが一緒に往って、頼んでください、きっとあの人は、長生することを教えてくれると思います」
父親も驚いた。
「そうか、そいつは大変だ、一緒に往って、頼んでみよう」
二人は厩へ往って馬を引出し、親子で乗りながら旅人の往った方へ向けて走らした。支那(中国)の里程で十里位も往ったところで、かの旅人の姿を見つけた。旅人に近くなると父親は馬から飛びおり、旅人の前へ往って地べたへ額をすりつけてお辞儀をした。
「今、忰から聞きますと、あなた様が、忰が早世するとおっしゃってくださいましたそうでございますが、天にも地にも一人しかない忰に先だたれましては、この世になんの望みもなくなります、どうかあなた様のお力で、忰の早世を逃れるようにしてくださいますまいか、お願いでございます」