本文へ移動
TORENDIA

清貧譚

本文約9,300字 ・ 読了時間 約19分

あらすじ(AIが作成しました)

江戸の向島に住む独身の馬山才之助は、菊をこよなく愛する貧乏な男である。旅先で出会った陶本三郎と姉の黄英を自宅に招き入れた才之助は、姉弟と共同生活を始める。しかし、菊作りで利益を得ようとする姉弟と、清貧を貫こうとする才之助の間には次第に確執が生じる。姉弟との生活を通じて価値観が揺らぐ中で、才之助は三郎の正体が菊の精であることを知るが、黄英への愛情を深め、そのまま共に暮らしていく様子を描く物語である。

太宰治

🎧 まだ音声版はありません

リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 13

以下に記すのは、かの聊斎志異の中の一篇である。原文は、千八百三十四字、之を私たちの普通用ゐてゐる四百字詰の原稿用紙に書き写しても、わづかに四枚半くらゐの、極く短い小片に過ぎないのであるが、読んでゐるうちに様々の空想が湧いて出て、優に三十枚前後の好短篇を読了した時と同じくらゐの満酌の感を覚えるのである。私は、この四枚半の小片にまつはる私の様々の空想を、そのまま書いてみたいのである。このやうな仕草が果して創作の本道かどうか、それには議論もある事であらうが、聊斎志異の中の物語は、文学の古典といふよりは、故土の口碑に近いものだと私は思つてゐるので、その古い物語を骨子として、二十世紀の日本の作家が、不逞の空想を案配し、かねて自己の感懐を託し以て創作也と読者にすすめても、あながち深い罪にはなるまいと考へられる。私の新体制も、ロマンチシズムの発掘以外には無いやうだ。

太宰治の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本