TORENDIA
耳目記
芥川龍之介
TORENDIA
耳目記
本文約550字 ・ 読了時間 約2分
あらすじ(AIが作成しました)
首筋の線や声に現れる性格の分析、猫の嗜好に対する驚き、狂信者の癖や癖のある眉の観察を綴る。また、他者が抱く美の基準の多様性や、果物問屋で起きた不気味な体験、肥満者の手に対する印象、そして女の人生における戦利品といった多岐にわたる随想を収める。日常の些細な風景や他者の振る舞いから、人間観察の鋭い視点を提示する。
👁 1 ビュー
速度
🎧 耳目記 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら
💰 この本を応援する(投げ銭)
1 / 1
×
僕等の性格は不思議にも大抵頸すぢの線に現はれてゐる。この線の鈍いものは敏感ではない。
×
それから又僕等の性格は声にも現れてゐる。声の堅いものは必ず強い。
×
筍、海苔、蕎麦、――かう云うものを猫の食ふことは僕には驚嘆する外はなかつた。
×
或狂信者のポルトレエ――彼は皮膚に光沢を持つてゐる。それから熱心に話す時はいつも片眼をつぶり、銃でも狙ふやうにしないことはない。
×
僕は話に熱中する度に左の眉だけ挙げる人と話した。ああいふ眉は多いものかしら。
×
僕は教育なり趣味なりの大抵同程度と思ふ人々に何枚かの女の写真を見せ、一番美人と思ふのを選んで貰つた。が、二十五人中同じ女を美人と言つたのはたつた二人ゐただけだつた。即ち女の美醜を定めるのさへ百分の四以上を超えないらしい。しかもこれは前に言つたやうに教育なり趣味なりの程度の似よつた人びとの間だけである。
×
或果物問屋の娘の話。――川に西瓜が一つ浮いてゐると思つたら、土左衛門の頭だつたのです。
×
僕は肥つた人の手を見ると、なぜか海豹の鰭を思ひ出してゐる。
×
僕は女の人生の戦利品を三つ記憶してゐる。
一つは長女に後を向けて次男に乳をのませてゐる女親。
一つは或女給の胸に下つたいろいろの学校のメダルの一ふさ。
一つは或玄人上りの細君の必ず客の前へ抱いて来る赤児。
(昭和二年四月)
完
芥川龍之介の他の作品
TORENDIA
水の三日
芥川龍之介
水の三日
芥川龍之介 ・ 約14分
TORENDIA
桃太郎
芥川龍之介
桃太郎
芥川龍之介 ・ 約17分
TORENDIA
貉
芥川龍之介
貉
芥川龍之介 ・ 約6分
TORENDIA
妙な話
芥川龍之介
妙な話
芥川龍之介 ・ 約12分
TORENDIA
長崎小品
芥川龍之介
長崎小品
芥川龍之介 ・ 約7分
TORENDIA
年末の一日
芥川龍之介
年末の一日
芥川龍之介 ・ 約7分
TORENDIA
尼提
芥川龍之介
尼提
芥川龍之介 ・ 約8分
TORENDIA
日光小品
芥川龍之介
日光小品
芥川龍之介 ・ 約10分
TORENDIA
庭
芥川龍之介
庭
芥川龍之介 ・ 約16分
TORENDIA
野呂松人形
芥川龍之介
野呂松人形
芥川龍之介 ・ 約14分
TORENDIA
沼地
芥川龍之介
沼地
芥川龍之介 ・ 約5分
TORENDIA
女体
芥川龍之介
女体
芥川龍之介 ・ 約3分
同じジャンルの朗読つきの本
TORENDIA
三月の空の下
小川未明
三月の空の下
小川未明 ・ 約8分
TORENDIA
少年・春
竹久夢二
少年・春
竹久夢二 ・ 約19分
TORENDIA
月の東京湾
大町桂月
月の東京湾
大町桂月 ・ 約5分
TORENDIA
心の芽
小川未明
心の芽
小川未明 ・ 約21分
TORENDIA
忌々しき「死」
の大君は
ダンテ・アリギエリ Dante Alighieri
忌々しき「死」の大君は
ダンテ・アリギエリ Dante Alighieri ・ 約1分
TORENDIA
編輯室より(一
九一五年一月号
)
伊藤野枝
編輯室より(一九一五年一月号)
伊藤野枝 ・ 約4分
TORENDIA
沖縄を憶ふ
折口信夫
沖縄を憶ふ
折口信夫 ・ 約10分
TORENDIA
電報
黒島傳治
電報
黒島傳治 ・ 約17分